実例に学ぶ大規模修繕工事

2回目の大規模修繕工事、優先すべきものは何?

概要 所在地:東京都
築年数:29年
総戸数:16戸
担当者 工事企画推進三課
一級建築士、一級建築施工管理技士
 
課題

ポイント

  1. まずは「保全の観点」で劣化状況からの必須の工事範囲を決定(必須工事項目の決定)
  2. 「機能上の観点」でやりたいことをあげ、全員で優先順位をつける
  3. 総予算内でできるように範囲と仕様を決定する

築20年を超えて、大規模修繕工事も2回目となると、補修すべき箇所も増え、追加したい機能なども出てきます。あれもしたい、これもしたい。けれど予算は限られています。その中で皆が納得する優先順位とはどのように考えればいいでしょう。
劣化した部分の補修、新しい機能や設備の追加、美観の向上など、実施すべき多種の工事を費用対効果を考え、そのマンションで今、やるべきことを決めていく必要があります。
 
工事の進め方・対応
工事の実施にあたり、お住まいの皆様全員にアンケートを実施しました。補修してほしい箇所はどこか?また生活で不便を感じていること、追加したいと思っている設備や機能は何かなど、1人ひとりの意見を収集し、その集計結果を公表したり、住民説明会を実施することで優先順位をつけていった結果、最も優先度の高いのは見た目も古く貧弱だった玄関ドアの交換であると決めることができました。
これを中心に他の工事内容を見直し、優先度の低い工事の費用を削減する方向で範囲と仕様を決定しました。
 
お客様の声(工事完了後アンケートより)
  • 古い建物で玄関ドアが貧弱でしたので、新しいものに交換し美観も良くなるとともに、ダブルロックにもなり、防犯性のも上がって満足です。

建物の劣化状況を正しく判断することで工事範囲を決める

概要 所在地:神奈川県
築年数:25年
総戸数:65戸
担当者 工事企画推進三課
一級建築士、一級建築施工管理技士
 
課題

ポイント

  1. 建物調査診断によって建物の劣化状況を正確に把握する
  2. 調査結果を検討し、工事の優先順位を決める。その際、足場を組む必要のある工事はまとめて行う
  3. 調査結果や修繕委員会での検討状況は随時広報し、総会での合意形成が円滑に進むよう工夫する

マンションの建物や設備は経年によって様々な部分に劣化が生じてきます。一方で工事のための資金がいつも充分にあるとは限りません。
限られた資金の中で、どの部分を今回の修繕工事で実施し、どの部分を後におくる事が適切なのか、住んでいる皆様だけでは判断に迷うところです。
 
工事の進め方・対応
まずは専門家による建物の調査診断を行います。目視して分かることだけではなく、コンクリート内部の様子や壁面タイルの浮きの有無なども調査し、劣化状況を正しく把握することが大切です。
調査の結果を修繕委員会などでしっかりと把握、理解し、どの工事から優先度を上げて実施するかを決めます。また調査の結果と委員会での検討の状況は、お住まいの皆様全員へ広報し、大規模修繕工事実施を管理組合総会で決議する前に住民全体が状況を把握し、合意形成が得られる状態を作りだすことがとても重要です。
このマンションでも、このプロセスをしっかりと踏むことで、お住まいの皆様の納得感を高めることができました。
なお工事範囲を決める上でのキーポイントは検討する工事に足場が必要かどうかです。足場が必要な工事はまとめて行うことが費用的にも効率的です。

お客様の声(工事完了後アンケートより)
  • 状況を正しく判断し、工事の優先順位を決めるのは素人ではとても無理でした。専門家による調査を行い、工事の優先順位を決めることで関係者が納得しながら工事範囲を決めることができました。

管理組合の意見の統一ができず、建物の劣化が進んでいく…

概要 所在地:埼玉県
築年数:19年
総戸数:32戸
担当者 工事企画推進四課
一級建築士、一級建築施工管理技士
 
課題

ポイント

  1. 先延ばしにすればするだけ、建物劣化は進む
  2. 第三者的立場のコンサルティングを依頼することで合意形成を円滑にする
  3. 工事範囲・工事仕様の決定、施行会社の選定、設計監理も専門家に意見を聞くことが安心につながる

通常、1回目の大規模修繕工事は新築から12年程度で行われることが多いのですが、工事の実施には管理組合総会での決議が必要となるため、お住まいの皆様の合意形成ができないと、年月が経過し、その間、建物の劣化がどんどん進んでいくという状態になってしまいます。
このマンションでも、お住まいの皆様から様々な意見が出ましたが、それをまとめることができずに大規模修繕工事が先延ばしになっていました。
 
工事の進め方・対応
建築の専門家として、また皆様の意見の整理役として弊社がコンサルタンティングすることとなりました。弊社で建物の調査診断の実施、調査結果に基づく工事内容の提案、お住まいの皆様からの意見の集約、施工会社の選定補助など、第三者的な立場でお住まいの皆様の合意形成をサポートすることで工事実施に至ることができました。また実際の工事にあたっては設計監理者として工事内容や品質をチェックし、工事が円滑に進むようサポートすることとなりました。

お客様の声(工事完了後アンケートより)
  • マンションには様々な立場の人がそれぞれの考えや意見を持っているので、自分たちだけでは合意形成が難しいと感じました。やはりプロの方が客観的にアドバイスしてくれることはとても大切だなと思いました。

スタッフが生み出すお客様とのパートナーシップ

ロイヤルシャトー大和弐番館(神奈川県)
管理組合 理事長様


  工事は「建物診断」と呼ばれる事前調査から始まり、この診断結果をもとに、工事の範囲や内容、予算の計画をご提案し、総会の決議を経て工事の実行が決定されます。
ロイヤルシャトー大和弐番館では、簡易建物診断報告会を開催し、書面での説明とあわせ、実際に建物の状態をお客様に見ていただく場を設けました。工事の進捗は、お客様ご自身で納得していただくことが大切ですので、当社では、診断の報告や現状確認を通し、工事への意識を皆様に高めていただけるよう、説明や質疑応答を十分に行うことを心がけています。

 

理事長様の声


理事長様は、「初めての大規模修繕工事なので、作業中の足音や建物の中の暗さに心配を感じている人もいましたが、大きな不満の声もなく順調に進んできました。工事中の職人さんたちも顔を合わせると挨拶をしてくれて、礼儀正しい印象です。エントランスに工事の進捗状況が掲示されているので、今どんな工事がされているのかがわかり、安心感がありますね」と、温かな眼差しを向けてくださっています。

お客様一人ひとりの声を大切に

工事は全行程で約3カ月。まず4月に足場を組み、下地補修と屋上防水工事を行い、5月から6月にかけてバルコニーの塗装と廊下の床面補修を行いました。そして6月半ばから足場を解体していきました。
行程管理や協力会社との調整など、工事全般の動きをまとめる業務は、専門部署が担当します。担当者が一番大切にしていることは、工事が始まる前から何度もお客様と顔を合わせ、工事中のお困り事をお聞きするなど、お客様の声を工事に反映しながら進めていくことです。
工事をスムーズに進めていくにあたってお客様の窓口となるのは、日常的にマンションの管理に携わるマンション管理担当者です。バルコニーに置かれている物の移動など、特にお客様のご理解が必要なことも丁寧に説明し、お客様のご協力をいただきます。
こうして大規模修繕工事を終えたマンションの姿は、お客様一人ひとりの声を大切に、「お客様のために」という想いが作り上げたひとつの形になります。