いい人、いい夫を絵に描いたような
模範的好人物、の人事マン

「妻にお花を買って帰ることですか?もちろんありますよ。でも渡し方にもちょっとした“気遣い”が必要なんです。たとえば、前日に深酒をして帰った翌日。これはダメ。ただのご機嫌取りで帳消しにしたい感が出過ぎちゃう。何気ない日に渡してこそ心底喜んでもらえると思うんです。ゴミ出しや洗い物もそう。“後で”ではダメ(もちろん、言われてからやるのはもっての外)。何かを言われる前に察知して、率先しないと」。いきなり妻への溢れんばかりの想いを口にする彼は、最近気がついたことがあるという。大切なのは、“やるかやらないか”ではなく、言われる前に察知・率先してやるということ。いかに相手の気持ちに気づくことができるかが大事であり、良いことも悪いこともタイミング次第であると語る。

人事の仕事を極めようと転職して 5年が経った今の思いとは

この5年間、新卒採用のみならず、中途キャリア採用・現場スタッフ採用・障がい者採用と、あらゆる採用業務を行ってきた。そんな彼も、全社での働き方の変化とともに、リモートワークをする機会がとても多くなった。リモートワークの場所は、専ら自宅の一室。リビングではない。「リビングでは妻が毎日仕事をしているんですよ。リビングを譲るのも妻の仕事を応援するが故。少しでも妻の支えになることが、自分の幸せなんです」。本当に愛妻家だ。しかし、ただの「愛妻家」というだけでは自慢話になってしまうが……。

─で、どうあり隊?

「 相手の気持ちに気づきつ 」ヅケテいこうぜ!
人事の仕事に就き、自分自身も成長

ある時、就活生からこんな質問を受けたと言う。「転職して、一番成長したと感じる点は何ですか?」。突然の質問に少し戸惑うも、自分自身と向き合ういいきっかけになったようだ。「相手の気持ちに気づけるようになったことかな」。そう、相手の気持ちに気づけるようになった、という自分に気づいたのだ。面接を受けている最中、「自分の考えを上手く話せない……」と感じることはないだろうか?緊張してしまい頭が真っ白になる。話したいことはあるのに上手く言葉がでてこない。かといって、事前に準備しすぎると自分らしさが出なくなる。彼にはそんな心の機微がわかる。だからこそ、面接の場で学生が発する言葉だけを判断基準にはしないのだ。本当に伝えたいことは何か。どういう想いでこの場に臨んでくれたのか。発する言葉を文字通りに受け取るのではなく、その気持ちや言葉にならない想いをくみ取り、自ら気づきにいくことを大事にしていると言う。「もちろん家庭でも同じです。妻は今何を望んでいるか、どういう気持ちでいるか。細かいことでも、気づこうとする姿勢は相手に伝わる。それが夫婦円満の秘訣かな」。奥様の話はこちらが仕掛けて聞き出した手前、照れながらも家庭の話をしてくれた。誰に対しても同じスタンス。その気づきが周囲へ好影響をもたらすだけでなく、自身の成長にもつながっているようだ。