vol.1 不動産コンサルタント 長嶋修 氏

業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「(株)さくら事務所」を立ち上げ、ホームインスペクション(住宅診断)という概念を世に広めた不動産コンサルタントの長嶋氏に、マンション管理組合と管理会社の理想的な関係についてお話いただきます。

長島 修(ながしま・おさむ) 不動産コンサルタント
1999年、「人と不動産のより幸せな関係」を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「不動産調査 さくら事務所(現 株式会社さくら事務所)」を設立する。以降、様々な活動を通じて「“第三者性”を堅持した不動産コンサルタント」第一人者として地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。

マンション管理組合と管理会社の関係は2パターンある

私のいる会社では、マンション管理組合の皆さん、マンション入居者の皆さんとのお付き合いを数多くさせていただいています。そのなかで見えてくることとして、マンション管理組合と管理会社の関係には、大きく2パターンあるように思います。1つは「依存型」、もう1つは「パートナーシップ型」です。割合としては、「依存型」のほうが圧倒的に多いです。

「依存型」が多い背景

今まで、マンション業界も悪かったと思います。新築マンションを売る時に、車やパソコンのような工業製品を売る売り方をしてきましたね。格好だけの、生活感が全くないパンフレットを作って売っているわけです。一方で、一度マンションに住んでしまえば、管理というのは実はマンション入居者みんなで行なっていくものですし、管理会社に委託しているとはいえ、主導権を握るのは入居者の方々です。そこを分かっていないままマンションに住み始めると、「管理は管理会社がやってくれるんでしょ」となってしまいます。不満があっても文句をつけてばかり。そのようなマンションは、住んでいても気持ちよくありませんし、入居者どうしのコミュニケーションもうまくいかない。「依存型」の関係では、不満は増大する一方となりがちです。

理想は「パートナーシップ型」の関係

私がマンション管理組合の方にお会いすると、「ここはとてもうまくいっているな」というマンションに巡り会うことがあるんです。うまくいっているところは入居者同士どうしのコミュニケーションも円滑だし、修繕の準備金も充分ではないにせよそれなりに貯まっていて、管理会社のプロの知恵をうまく使いながらよい状況をつくっています。入居者の方々も、「このマンションに住み続けたい」という方が多いのではないでしょうか。今ここにいらっしゃる皆さんには、ぜひ管理会社と「パートナーシップ型」の関係を結んでいただければと思います。

ノウハウは管理会社が持っている

もしかすると、理事長や役員になる方のなかには、「順番でなりました」とか「じゃんけんで負けたから」という人もいるかもしれません。また、住民のなかには、「マンション管理なんて自分には関係ない」という方も多いでしょうし、あるいは賃貸契約の入居者が多ければやりにくいです。そういう状況の中で、どのようにご自身のマンションの価値を維持していくか、ないしは管理組合の運営をちゃんとやっていくかを考えていかなければならないわけですよね。

管理会社の賢い選び方

そのあたりのノウハウは、基本的には管理会社が持っています。ただ、管理会社を選ぶ際、規模や戸数で選ぶべきではないと私は思っています。よく雑誌などで、「マンション管理会社ランキング」をやっていますね。売上げとか会社の規模に基づいてランキングをつけているようですが、あれと管理会社の現場の質は必ずしも比例しません。確かに、傾向はあります。やはり大きい会社のほうが、蓄積されるノウハウや社員教育体制などから現場の質が高い可能性が高いです。しかしマンション管理というのは、もっと俗人的です。会社の規模に関わらず、結局そのマンションに常勤している管理人の方にかなり依存してしまうものなんです。管理会社をもし選ぶとしたら、私がお勧めするチェックポイントは、教育体制ですね。管理人やフロントマンに対する教育・投資・フォローアップ体制がいかにしっかりしているかという点。ここは管理会社によってずいぶん差があると思いますよ。
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