駐車場と管理組合

駐車場運営を収益事業とするかしないかの判断も含め、管理組合総会では駐車場に関する議題が多い。総会議案に共用部分に関する語彙が含まれている割合を調査したのが次のグラフである(表1参照)。
築年数の浅いマンションで多くなる傾向はあるが、どの期においても50%は存在する。
使用者の範囲や料金の見直しなど、駐車場は常に問題となっている。駐車場から派生する問題が解決できれば、管理組合の課題は激減すると言っても過言ではない。
 

表1

1.機械式駐車場の埋め戻し問題

20年ほど前は、ほとんどの管理組合で駐車場台数が不足していた。現在は、駐車場不足のマンションと駐車場が余ってしまう「空き駐車場問題」の二極化が進んでいる。
ここでは、「空き駐車場問題」について紹介する。
駐車場の利用者の範囲を拡大することを検討し、それでもなお、駐車場利用者が現れない場合、収益事業として運営することを断念した場合に、そのまま駐車場を空けておくことは管理組合の負担を増加させるだけの結果となる。
 

表1

表2

表3
駐車場の空き問題が将来的に解消される見込みはあまりない。
理由として、乗用車の保有率は低下しており、(表1参照)世帯あたりの普及率も低下している(表2参照)。特に高齢者における低下は著しく、マンションの高齢化に伴い、現在駐車場が空いていない管理組合でも将来的に駐車場が空いてしまう問題に直面するであろう。 空いた駐車場を来客用駐車場などに運用する方法もあるが、時間貸し駐車場の台数は近年増加の一途をたどっている(表3参照)。機械式駐車場の場合は、駐車できる車両の大きさに許容範囲があり、管理員が24時間交代勤務であるなどの特殊なマンションを除き、来客用の車両を確認してから駐車させるなどの運用は難しい。利便性においても、企業として運用されている時間貸し駐車場と競合して管理組合の駐車場を運用していくことは難しい。
また、機械式駐車場は、月々のメンテナンス費用、電気代などのほか、長期修繕計画上は25年後に入替工事費用を計上しており管理費、修繕積立金に占める費用も多い。
こうしたケースにおいては駐車場はもはや収入増加策ではなく、収入削減策として機械式駐車場を埋めてしまうという選択をする管理組合もある。当社実績により機械式駐車場を埋め戻す選択した管理組合の数は136組合である(表4参照)。割合としては10%に満たないが年々増加傾向にある。
駐車場が空いてしまう管理組合の傾向について地域差を分析した(表5参照)。ここからさらに「都心部である」「駅に近い」「築年数」などの要素ごとに分析したが、特定の傾向は見られなかった。居住者のライフスタイルの変化など複合的な要素によるものであり、特定の要素だけでなく、複雑な要素が絡まっているのではないかと考えられる。
 

表4

表5

2.機械式駐車場冠水問題

ピット式機械式駐車場が設置されているマンションでは、集中豪雨や台風などの際にピット内に雨水があふれ、車両が冠水してしまうという事故が発生するケースがある。
ピット内に流入した雨水は、排水ポンプなどにより公共下水に排水されるが、公共下水側が一杯になると、ピット内に雨水が流入し、結果としてピット内の車両に被害が生じる。
その現場に遭遇したことがあるが、冠水までの時間はほんの数分の出来事であったと記憶している。
車両が冠水した場合、特約を付していない限り、車両保険では保証されない。また、管理組合と駐車場使用者の間の契約上も、通常は自然災害による車両の破損等は免責とされている。
さらに、管理組合と管理会社の管理委託契約上も、自然災害による事故は免責とされている。
そうなると、冠水してしまった車両の所有者は、どこからも金銭的な保証がされない。
現在では、機械式駐車場ピットの冠水事故は知られているが、異常気象が言われ始めた頃は、建築上の問題ではないかとか、排水ポンプの不良ではないか、など車両所有者の方と損害をめぐるトラブルに至る事例もあった。
過去の水害等の事例を調査し、水害のおそれのある地域では対策を行う必要がある。
契約者との合意をはかるために、駐車場使用料に格差をつけておくという方法がある。
上段より下段の駐車場使用料を安く設定する、管理組合は貸すときに「冠水のおそれがあるために、安価になっている」という説明をしておく。契約書にも記載する。
そうすることによって、事前にリスクを駐車場使用者に喚起することができるし、損害賠償請求というトラブルには発展しにくい。
冠水事故そのものの防止は、集中豪雨が始まる前に対処する以外に方法はない。豪雨の予報が出た場合は、駐車場への車両の入出庫を制限し、ピット内の車両を車路部分にすべて出しておく、という方法をとるなど管理組合で協議しておく必要がある。

3.機械式駐車場の安全対策

消費者安全調査委員会が、平成26年7月に、機械式立体駐車場で相次ぐ事故についての報告書をまとめている。ここでは「設計段階で利用者の行動を考慮せず、安全確認を過度に利用者に依存している」として、駐車場法の規制を受けないマンション駐車場なども、安全性確保に向けた法整備を進めるべきだと提言された。
調査対象は、機械式立体駐車場で起きた死亡事故4件を含む6件で、うち5件はマンション駐車場で発生。子供が犠牲となる痛ましい事故が詳細に記述されている。
エレベーターでも死亡事故が発生し、点検について問題になったことがあった。事故の数で言えば、エレベーターよりも機械式駐車場のほうが多い。
この調査報告書を受けて、機械式駐車場の安全対策について国土交通省などから各種通達が出ている。各管理組合でも駐車場管理者の表示や安全柵の設置などの対応が必要となる場合もある。
機械式駐車場はエレベーターや自動ドアと違い、人を挟んでも緊急停止しない。操作する側が注意を払わない限り、事故は防止できない。機械式駐車場についての認識を改める時期がきている。
(マンション事業部 管理企画部長 久保依子)

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