2019.11.22

あなたも加害者に! マンションの漏水事故

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マンションにおけるトラブルといえば、上下階に影響がでる「騒音」「喫煙」などが多い。これらは故意でなくとも、自分や家族の行動が引き起こしたものである。ところが、自分でも気が付かないうちに他人に大きな被害を与えてしまう怖れがある。それが「漏水事故」だ。

漏水が起こってしまった場合、下階への被害が長期化することも想定され、日常生活が困難になる状況も考えられる。そこで今回は、漏水が発生したケースを想定しその対応を読み解いていく。

突然、漏水事故の加害者になってしまった私

ある日の早朝、何度もインターホンが鳴らされ玄関を開けてみると、下階のAさんが困った顔をして立っていた。こんな時間に何事かと尋ねてみると、「洗面所の天井から水漏れしているけれど、なにかお心当たりはありますか?」とのこと。

慌てて室内に戻り、我が家の洗面所へと確認しに行くが、こちらは特に変わった様子はなかった。何が起きているのか判断できないため、とりあえず尋ねてきたAさんには「管理会社に問い合わせてみます」とだけお伝えし、その場はおさまった。

その後、管理会社に問い合わせてみると、「漏水の可能性がありますね。調査に伺いますので、ご在宅をお願いできますか?」とのことだった。仕事はあったがAさんにも迷惑をかけているようだし……と、泣く泣く会社を休み、立会いを行った。

すると、洗面所の下の給湯配管から漏水していることが判明。漏れ出た水が溜まっていることも明らかになり、その日は応急処置をしてもらうに留まった。

「謝れば済む」という話ではない

管理会社に来てもらい、漏水の原因も判明した。応急処置もしてもらった。私は、これでとりあえず一安心、一件落着したと安堵した。

ところが、それだけで落着とはいかない現実が待っていた。謝罪とともに漏水処置の報告をしようとAさんのお宅を訪ねると、遠慮がちではあったがこう告げられた。「洗面所の床がびしょびしょで……壁のクロスもシミができちゃったんですよ」

(これって私が弁償するのかな? 注意のしようがない部分で起きたことだし……)と思いつつ、「管理会社に確認してみますね」とだけ伝え自宅へ戻り、早速電話をしてみた。

「対応してもらった漏水なんですけど、下階のお宅で床やクロスにかなり被害があるようなんです。この場合、私の方で弁償すべきなんでしょうか?」

「いいえ、下階の内装被害の復旧に関しては、管理組合様の保険で『個人賠償特約』が付帯されているため、保険の申請を行うことができます。また今回実施した漏水調査費用についても『水濡れ原因調査費用の特約』が付帯されているため、そちらが適用されます。しかし、漏水が確認された配管の修理代金については、個人負担となりますね」

しかし、いくら保険が使えるからとはいえ、状況を審査した結果、満額出るとは限らないという。保険適用の申請をして、結果を待つことにした。

誰でも加害者になりうる、だから保険がある

管理組合の保険が使えるとはいえ、自己負担の有無や額などを心配しながら連絡を待つこと数日。ついに連絡が来た。「申請していた保険の結果が確認でき、満額認定がおりました」とのこと。「ご連絡ありがとうございます。ちなみにおいくらぐらいになりましたか?」と参考までに伺うと、漏水の原因調査が10万円弱、下階の内装復旧が約50万円だという。また、自宅の配管の修理費用は5~10万円の範囲に収まりそうだとのことだった。

目に見えない部分──つまり、自分たちでは気をつけようもない部分での故障とは、若干腑に落ちない気持ちは残る。しかし、保険のおかげで一難を乗り越えることができ、ご迷惑をかけたAさん宅も無事に復旧作業が完了したとの確認もとれた。

今回のケースでは保険の満額認定が受けられたが、修理金額が不足した場合、個人で加入している保険の個人賠償特約の使用等を求められるケースもある。また、保険未加入だった場合は、差額を負担する必要が出てくる。

──とここで、そもそも自身の管理組合の保険に何の特約が付帯されているかご存知でない方も多いのではないだろうか。いざという時の保険、いつの日か自身が知らぬ内に加害者になる日が来るかもしれない。

そんなまさかの時のためにも、管理組合で加入している保険の内容を改めて見直す必要を感じていただけたのではないだろうか。

漏水の原因はたくさんある。さぁ、どうやって防ぐ

ここまで漏水事故に伴う大まかな流れを確認してきたが、そもそも漏水自体を防ぐことも有効な対応の一つ。原因箇所ごとに対応をみていこう。

<原因①>専有部配管からの漏水

専有部の床下を主に通っている給水・給湯管が経年劣化で穴が開き漏水する。

<対策>

専有部の配管は、各区分所有者(=部屋の持ち主)が管理を行うものとなっており、配管の材質に合わせたメンテナンスやリフォームによる更新が必要なものとなっているため、適切な時期でリフォーム会社等に相談し、更新や修繕をおこなう必要がある。

<原因②>人的ミスによる漏水

水をこぼして長時間そのままにしてしまったり、洗濯機のホースが外れてしまうことによる漏水。

<対策>

洗濯機をまわし、そのまま外出して帰ってくるとホースが外れており・・・という事例が多くみられる。洗濯機は、まわして最初に問題がないかの確認をする。もし多量の水をこぼした場合は、すぐに拭く。洗濯機のホースが緩んでいないかを定期的に確認することも有効な対策の一つである。

<原因③>建築漏水

雨水等が外壁等から浸入し、発生する漏水。

<対策>

住んでいるマンションの外壁等共用部がしっかりと修繕されていない場合等に外壁のヒビや防水層の劣化部分から漏水に至ることが多い。(概ね約12年ごとに行われる大規模修繕工事にて修繕される。)

自身の住んでいるマンションの外壁等共用部がきちんと修繕されているか確認し、管理組合として適切に維持・管理をしていくことが重要である。

以上のように一口に漏水といってもさまざまな原因や対策があり、すべてを防ぐことは難しいだろう。しかしながら、漏水は一度発生すると、対応にかなりの労力を要する。自身が加入している保険や自宅内の配管等を今一度確認してみてはいかがだろうか。

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