2020.1.23

「まさかの管理費の滞納?」──という時の対処方法

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「今まで滞納は無かったのに、最近徐々に増えてきている。早めに解決できないものか」

「理事会で対応するべき? 管理委託契約書に記載があるのだから、管理会社で対応してくれるのでは?」

滞納しているか、していないか──その状況を知るには、管理会社等が作成・報告する「管理報告」で確認すればよい。しかしその報告書を見て管理費等の滞納を発見したとしても、管理組合の理事では、一般的に回収手段や滞納者への催促といったノウハウは持っていない。「さて、どうしたものか」となるのが実態だ。

滞納の背景と、それを巡る役員・理事たちの想い

そもそもなぜ管理費等の滞納が発生してしまうのか。

一般的には口座引落が採用されているので、「たまたま引落口座に資金を準備し忘れた」ことが理由の一つに挙げられる。「ついうっかり忘れて」しまうことは分からなくはない。問題なのはそれが常習化している場合。その多くは、実際はローン返済や世帯収入の減少で資金繰りが厳しくなっているという事情が潜んでいることがある。とはいえ、滞納の理由は至ってシンプルだ。

厄介なのは、理事会の運営方法や管理会社へ不満があるなどの込み入ったケース。自己流の解釈で「だから管理費等を納めなくて良い」としている場合だ。管理費等を納めない理由にはならないのだが、稀にこのようなはき違えをしている人もいる。

また、これら以外にも様々な要因が折り重なった結果、滞納に繋がってしまうこともある。いずれにしても、役員だけでコントロールしきれない範疇であることは間違いない。

滞納が発生した!しかし、すぐに解決できる方法がない!?

滞納を解消するための最初のステップとしては、まず「滞納者と直接話し合う」ことだ。これなら比較的低コストで実施できる。現状の聴取をしながら、現実的な支払計画を作成・履行してもらうことが目的となる。ただし、話し合いに応じていただけない、支払履行がなされないといったケースや、外部居住者の場合容易に会いに行けないことも多い。

最初のステップではどうもうまくいかない──そうなったら次のステップに踏み切るしかない。ある程度の費用をかけて実施できる手法として、「法的手続(例:内容証明送付、支払督促、少額訴訟)」がある。ただ、裁判所のお墨付きを貰えるメリットはあるものの、掛かる費用と得られる効果は必ずしも釣り合わない。

もう少し管理組合にとって現実的な観点でいくと、「特定承継」という考え方がある。競売や売却で滞納者から新しい所有者へ所有権が移り、その売却代金から滞納分が支払われれば問題ない。それが叶わなくても、滞納者がこれまで滞納していた分は、新しい所有者へ請求することができるというものだ。

しかし、残念ながらこれにも但し書きが付いてしまう。場合によるが、駐車場使用料や居住時に使用していた水道使用料などについては、特定承継の対象にならないケースがある。

これらはマンション管理の滞納において広く一般的に講じられている対応であるが、いずれの対応においても、即時に滞納解消へ繋がることは何一つ保証されていない。

事例で見る管理費等滞納解決策

それでは実状はどうなのか。いくつかの事例を見て実感していただこう。

【ケース1】 滞納解消まで7年!!

滞納者ご本人とは一度も話し合いを持つことができず、時効を中断させるため、少額訴訟を繰り返す対応しかできず、訴訟等の費用ばかりが毎度発生し、手を焼いていた。役員も長年定期的に督促(面談・訪問)をするも会えなかった。そして滞納発生から7年が経過しようとしていた矢先、ご親族からの連絡を機に売却が進み滞納分の回収に繋がった。

【ケース2】 管理会社への不満からの滞納

管理会社への不満から管理費等を支払わないとマンション中に宣言をされている中、役員と管理会社で面談、電話応対、メール応対を数十回実施。最終的には滞納者本人の意思で売却(退去)され、滞納分の回収に繋がった。

【ケース3】理事会主導の下、滞納者と面談実施

全戸の約1割が滞納者状態。登記簿謄本や住民票などを理事会主導で取得し、入居者名簿などの情報を補完。管理会社とも情報共有した上で、滞納者へ面談や訴訟を実施。当初より滞納者は減少しているが、未だ解消していない滞納も存在している。

上記はほんの一例に過ぎないが、長期戦となり、管理組合の役員・理事、管理会社にも相当な労力と費用が発生することを十分に覚悟する必要がある。

滞納が発生した時の心構え

管理費等の滞納は非常にセンシティブな問題で、未然に防ぐことも容易ではない。また、解消にあたっては管理費等の滞納解消は長期戦が大前提だ。
場合によっては年単位での対応になることもあるが、管理費等の債権者は管理組合であることは明白であり、滞納者は逃げられない。管理会社にも協力を仰ぎつつ、理事会が最初の旗振り役になって、地道に対応を進めるしかない。それが最善の準備であり、心構えではないのかと思う。

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