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2022.7.1

多摩マンション管理組合連絡会 セミナー&インタビュー取材

多摩ニュータウンとその周辺地域は、旧公団・公社の団地や民間マンションが集まった国内最大のマンション集積地です。「多摩マンション管理組合連絡会」は、地域の管理組合と専門家、そしてマンション管理の経験が豊富な住民有志の連携組織。知恵を出し合い、さまざまな学びや問題解決などの活動を積極的に行っています。
 
今回は、2022年4月17日、パルテノン多摩にて同連絡会が企画したセミナー後にインタビューを実施。マンションみらい価値研究所のコラムニスト丸山肇が務めた講演内容も含め概略をレポートします。
 
多摩マンション管理組合連絡会
会長:二宮 正行 様
副会長:西山 博之 様
事務局長:橋口 房雄 様
インタビュアー:マンションみらい価値研究所 大橋 正和 
(以下、敬称略)
 

多摩マンション管理組合連絡会の活動内容

(インタビュアー 大橋)
本日は、当研究所の丸山をお招きいただき、
「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」というテーマでお話の機会を頂きました。ありがとうございます。
インタビューの後半で、今日のセミナーの感想などもお聞かせいただければと思います。まずは、多摩マンション管理組合連絡会の活動内容やマンション管理の課題などをインタビューさせていただきます。
 
多摩ニュータウンは昭和40年頃に開発が始まり、すでに50年程の歴史があります。周辺のマンションも合わせると、400以上の管理組合があるとのこと。
初期に建設されたマンションは、すでに築40年を超えるものもあります。
連絡会が結成されて14年目。やはり、高経年マンションの問題などもあり、問題意識が高まって連絡会を立ち上げたということが背景でしょうか。
また具体的にどんな活動をされているかもお聞かせください。

(橋口)
事務局長の橋口です。
現在は、理事会に加え、メンテナンス部会・管理運営問題部会・民間マンション部会という3つの委員会を、毎月1回それぞれ会合を実施しています。
加えて、毎年7月の新任理事実務講座、年2回のセミナーや総会、また、広報部会では定期的に広報誌も発行し、連絡会のホームページも更新しています。
本日のセミナーも定員を48名としていましたが、おかげさまで満員御礼となりました。
※多摩マンション管理組合連絡会URL
https://tama-mansion.jimdofree.com/

(インタビュアー 大橋)
頻繁に活動されているようですね。
総会や年2回の定期セミナーも入れれば、年40~50回ぐらい会合をされていて、とても素晴らしいと思います。 
ところで、多摩ニュータウンは、公団が供給から撤退された後は、
民間のデベロッパーが供給を始め、比較的新しいマンションも多くあると
聞いています。
二宮さんはお若い方なので、お住まいは民間の方のマンションですか?

(二宮)
現在、会長をさせていただいております二宮です。
そうですね、私は、ニュータウンの中で十数年前に民間が分譲したマンションに住んでいます。
私が所属する管理組合には、連絡会設立当初より組合会員として入会しておりまして、三期の理事長に就任した際に、連絡会に参加したのがきっかけです。マンション管理の勉強にもなると思って、理事長退任後に連絡会役員として地域活動に参加させていただいています。
また、連絡会を立ち上げた現在の副会長・西山さん、常光さん他設立メンバーの努力かと思います。
多摩市への働きかけや多くのマンションへの声掛けなど、奮闘の末、連絡会ができたと聞いています。

(西山)
みなさんのご協力で設立できたのですが、準備だけで2年ぐらいかかりましたでしょうか。最初は少数の有志と、現在も中心となっている管理組合、そしてマンション管理士などで設立準備に入りました。
多摩市にご協力いただき13回にも及ぶ設立前の準備会も、市役所に会議室をご提供いただきました。
そして、2008年3月に多摩市長名で、会員募集を開始いたしました。
私の住むマンションは、ニュータウンの中では初期のころに建設された公団のマンションで、すでに築年数も40年を超えています。
しかし当時は、高経年マンション問題というより、多摩ニュータウンのマンション供給が公団から民間分譲に切り替わり、タウンに新しいマンションも増加していったのですが、タウン内のマンション住民や管理組合のつながりなどが、どんどん希薄になっていってしまいました。

また、マンションの管理運営は難しいもので、地域としてのつながりの中で、経験や知識の共有をしていく意義は十分にあるという思いもあり、みなさんに声をかけていきました。

(連絡会の設立について語る 西山様)

(橋口)
連絡会の中でも公団時代の古いマンションの多くは、メンテナンス部会・管理運営問題部会などで活躍されており、最近は、新しい民間のマンションは民間マンション部会で活動されています。いまや、最も活発なのが、民間マンション部会でしょうか。

(西山)
旧公団系のマンションと民間系のマンションでは、単に古いか新しいか、という違いだけでなく、マンション管理の意識の違いも大きいのです。旧公団系の管理は、完全に自主管理というわけではありませんが、管理会社に委託する範囲はごく一部です。ですから、大規模修繕工事もすべて自分たちで、どうしようかと考えていかなくてはならない。
ある意味、必死なんですね。
新しい民間系は管理会社への全部委託のところもありますから、そのあたりの意識の違いは大きいかもしれません。

(二宮)
とはいえ、理事会が替わると、連絡会に顔を出さなくなるなどのケースもありますね。
致し方ないのかもしれませんが、自主性を持って運営を行うことが大切だと思うのですが、マンション管理は専門的です。
単なる知識だけでなく、いろいろな経験知を共有しながら、マンションのそして街全体の居住価値が高まれば素晴らしいことですね。

(左:西山様 右:二宮様)

多摩ニュータウン 50年の変化

(インタビュアー 大橋)
ありがとうございます。
話は変わりますが、多摩ニュータウンの街の変化についてお聞きします。
他の40年・50年と経過していったニュータウンでは、年代別人口構成のピラミッドが逆三角形の少子高齢化現象になったり、商店街もシャッター商店街といわれる閉店する店舗も増加していたりすると聞きます。
大阪の千里ニュータウンは、ニュータウン自体の再開発として、複数のマンションが建替えにより生まれ変わっていく事例もありますが、多摩ニュータウンはいかがですか?

(橋口)
多摩ニュータウンは、シャッター商店街は出現していませんが、
確かに他のニュータウンではそんな現象が問題になっているようですね。
しかし店舗の業種は入れ替わり、介護系やデイサービスなどの店舗が増えているようです。多摩ニュータウンは東京都心にも近く、交通の利便性もよく、駅前はにぎやかなのでショッピングにも便利です。
緑も多いですし道路も広い。高低の緩やかな変化もあり、住まうには最適な街ではありますが、今後の少子高齢化の中で、街としての持続可能性は、やはり、より若い世代が住みたいと思える街づくりがポイントなのでしょうね。
 

(左:橋口様 中央:西山様 右:二宮様)

(西山)
大阪の千里ニュータウンは、建替えがたくさんあるようですね。
多摩ニュータウンでは、永山の諏訪2丁目団地という640戸のマンションが、1240戸を超えるマンションに建替えられています。日本初の団地の一括建替えという事業でもありましたが、その後、他のマンションも追随するかというとやはり、余剰容積や収支の難しさなどもあり、いかに永く、居住価値を維持していくかをテーマに考えるマンションが多いようですね。
 

講演内容の感想

(インタビュアー 大橋)
なるほど、マンションの高齢化そのものに目が行きがちですが、“街”もマンションのポテンシャルになるわけですから、自分のマンションだけでなく、もっと視野を広げ持続可能性を考える必要があるのですね。
確かに建替えといっても、簡単にできるわけでありませんし、できるのは条件のそろった、ほんの一握りのマンションだけですからね。

さて、本日は「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」
というテーマで、マンションみらい価値研究所の丸山より講演させていただいております。適正化法の改正の本当の“狙い”があって、また管理計画認定制度がマンション管理を変えていくターニングポイントになりえるということを私も納得しましたが、ここでご感想などをお聞きしたいです。

(橋口)
今回の適正化法の改正や管理計画認定制度を深く理解されていない方には、
難しかったかもしれません。しかし、改正した“狙い”とか、管理計画認定制度が作られた背景を知ることで、いま、マンション管理に直面する課題を初めて理解できるのかもしれませんね。

(二宮)
お話の中に「資産価値」と「居住価値」という内容がありました。「資産価値」は、流通価格など客観的に評価できる価値ではあるけれども、売って初めてお金になるもの。
現代は、永住志向が強いため、自分のマンションを売る前提ではありません。
一方で「居住価値」は、住んでいる人しかわからない主観的な価値。
とはいえ、住み続けるなら「居住価値」が大切だし、それを客観的に証明できるようになる制度が、今回の管理計画認定制度というところが目からうろこが落ちる思いでした。管理組合が目指す目標が明確になり、また中古流通市場も管理計画認定制度を基準に評価されていく、そんな転機が今回の改正だったんですね。今後は、連絡会も行政と連携を取りながら、本制度を多摩市全体に浸透させ、街全体を活性化させてきたいと思います。

(インタビュアー 大橋)
今日はお忙しい中、貴重なご意見を賜りありがとうございました。
多摩ニュータウンに根付く、「マンションの」「管理組合の」「街の」まじめなコミュニティ活動を、マンションみらい価値研究所はこれからも応援してまいります。
 

(左:橋口様 中央:西山様 右:二宮様)

「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」講演骨子

「日本人にとってマンションってなんだろう」
高度成長期に都市部へどんどん人が集まり住宅が不足。
一般的なサラリーマンの給料では高額過ぎて購入が難しい、立地の良い戸建てから、マンションに注目が集まり始める。
しかし、高度成長期が終焉(しゅうえん)を迎え、作り過ぎた住宅が、世帯数よりも13%程度も多い住宅余りの時代に突入していき、ここを“終の棲家(ついのすみか)”にと思い始めた頃には、さまざまな問題があることに気付きはじめる。

環境変化はそれだけではない。
適正化法制定から今回の改正に至る20年間で、消費税の導入や最低賃金の上昇で管理組合収支は悪化の一途をたどり、さらに住まう方の半数が60歳以上となった。そして、管理会社が管理組合を選別していく時代にもなった。

講演では、上記の環境変化を整理するとともに、「資産価値」と「居住価値」の違いや今後の中古流通市場の在り方を整理しつつ、管理計画認定制度の認定基準が、管理組合の運営上の目標になることを確認していく。

講師:マンションみらい価値研究所 コラムニスト 丸山 肇
 

講演目次

マンションみらい価値研究所では、管理組合運営等の研究や情報交換などを行っているNPOや団体からの依頼でセミナー等の講演を行っています。
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この記事の取材者

大橋正和