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2023.6.16

第7回 マンションみらい価値研究所セミナー「マンション管理が直面する「今」〜住むなら分譲、それとも賃貸?〜」

5月18日(木)、第7回となるセミナーが開催された。今回は公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 会長・塩見紀昭氏をお招きし「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」と題して議論を行った。

識者登壇の前に、当研究所所長である久保依子が、自身が執筆し5月11日に公開したレポート「単身者用 分譲賃貸マンションの現状~修繕積立金不足から第三者管理者方式、ワンルーム規制条例まで~」の内容について解説を行い、「分譲賃貸マンション」という、消費者にとってはあまり聞きなれないワードの定義を紐解いた。

「マンション」という呼称は、その入居形態によって“頭”につく表記が変わる。例えば、区分所有者自身が住まうために購入したもの(または販売されたもの)に対しては「分譲マンション」であり、企業などのオーナーが所有し賃貸を目的としたものに対しては「賃貸マンション」である。

その中間にあるのが「分譲賃貸マンション」だ。これは本来分譲マンションとして購入された物件が、何らかの事情で賃貸物件として貸し出されているものであり、形態としては分譲マンション寄りである。また、元々居住する予定はなく家賃収入を目的とし購入されたものは「投資マンション」と呼ばれ、こちらは賃貸マンションの形態に近い。

以上4つの「マンション」の形態が登場したが、「賃貸マンション」が企業などオーナーの所有であるのに対し、その他の3つの形態では「区分所有者が所有者である」というところから講義はスタート。その違いによる「管理の主体」を考えていく。「マンション」という呼称は、その入居形態によって“頭”につく表記が変わる。例えば、区分所有者自身が住まうために購入したもの(または販売されたもの)に対しては「分譲マンション」であり、企業などのオーナーが所有し賃貸を目的としたものに対しては「賃貸マンション」である。

その中間にあるのが「分譲賃貸マンション」だ。これは本来分譲マンションとして購入された物件が、何らかの事情で賃貸物件として貸し出されているものであり、形態としては分譲マンション寄りである。また、元々居住する予定はなく家賃収入を目的とし購入されたものは「投資マンション」と呼ばれ、こちらは賃貸マンションの形態に近い。

以上4つの「マンション」の形態が登場したが、「賃貸マンション」が企業などオーナーの所有であるのに対し、その他の3つの形態では「区分所有者が所有者である」というところから講義はスタート。その違いによる「管理の主体」を考えていく。


 

本日のゲストである塩見会長は、長らく賃貸マンションに関する業務に従事されていたことから、本来は我々のような管理会社との交流はほとんどない。しかし今回はあえて“別カテゴリー”に従事される方をお招きすることで、より多角的な視点からの考察を行い、昨今のマンションにおける課題・問題の解決の糸口を探った。

所長の久保から「分譲賃貸マンション」に関する基礎知識の解説があったところで、ゲストの塩見会長が登壇。冒頭で「賃貸の分野も時代とともに複雑化している」という問題提起があった上で、「一昨年、賃貸に関する法律が改正されたこと」「今年11月、賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度がスタートすること」の2つのニュースを紹介した。

そして話題は本題に入り、まず最初に気になるのが「分譲マンション管理と賃貸マンション管理の違い」である。塩見会長は「分譲マンションは、基本的に所有者と居住者がイコールであるが、賃貸マンションはそうではない」とし、「分譲マンションは管理で買えという」ことに触れる。

「分譲賃貸マンション」と「投資マンション」は、似たようでいて大きく違う点があるという。分譲賃貸マンションの賃借人にアンケートをとったところ、そのメリットとして「ゴミが24時間出せる」「管理人がいる心地よさ」「設備面の充実」「遮音性の高さ」などが挙がったという。

その反対にデメリットを問うと「オーナーが住んでいないため美観等に無関心」「管理費・修繕積立金を安く抑えたがる」「所有者が頻繁に変わり責任の所在が不明確」などが挙がったという。
 

その上で「分譲マンション」「賃貸マンション」それぞれが直面している管理の課題について、塩見会長と久保で対談。久保は「分譲マンションの3大トラブル」として「漏水・騒音・ペット問題」を挙げた。一方で、これらの問題に関し、分譲マンションの管理体制では「部屋内のことには介入しない」ことが原則であることを久保が告げると、塩見会長は「そこに大きな違いがある」と話す。「主なクレーム内容は分譲マンションと同様だが、賃貸マンションでの管理は部屋内にまで介入しなければならない。それがコロナ禍により滞在時間が長くなったことで非常に増えている」と述べた。

こうした管理体制の違いもあれど、そこに住まうのは同じ「人」であることから、分譲と賃貸での管理の「今」が見えてくる対談となった。当然ながら即効性のある解決策があるわけではないが、マンションと人という2つの老いの問題、超高齢化社会における認知症、そして区分所有権の相続や第三者管理者方式など、あらゆる角度で見直さなければならない時代に突入したことで、今まさに議論が活発化しているといえるだろう。

マンションを取り巻くさまざまな事象が深刻化し、これらの課題にこれ以上目を背けることができない状況となった今、この記事を読んでいる「あなた」はどう感じるか、どう課題解決に向き合うかを考えてほしい。
 

この記事の取材者

浅井ユキコ