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2024.04.24

★☆NEW☆★ コラム「自転車通勤と企業の責任」



【増加する自転車事故】
 
健康志向や環境保護意識が高まるなか、通勤時の感染症対策としての側面にも注目が集まり、従業員に自転車通勤や業務での自転車の使用を認める企業が増えてきています。
国土交通省は現在、自転車通勤の導入を後押しする施策を進めています。
(出典:国土交通省ホームページ「自転車通勤・通学の促進に関する当面の取組について」https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001328.html
その一方で、自転車乗用中の交通事故の発生件数は令和5年が72,339件と、前年より2,354件増加しています。(警察庁交通局)
また、自転車による事故で高額な損害賠償請求となるケースも発生しています。


                         【自転車事故高額賠償判例】


(出典:日本損害保険協会)
https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/index.html
 


【自転車事故と企業の責任】
 
自転車は道路交通法上、自動車と同じ「車両」にあたります。企業が自転車通勤や業務での自転車の使用を認めた場合、従業員が加害者となる事故が発生した際には、企業も使用者責任を追及されるリスクがあります。
自転車事故における被害者救済の観点から、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きも広がっていますが、事業主としては、従業員が事前に保険加入をしているかの確認が必要となります。従業員が通勤中に他人を死傷させた場合や、他人の物を壊した場合に発生した対人・対物賠償責任は、従業員自身が負うためです。

一方、事業活動中に起こした事故と認められた場合、従業員が加入している自転車賠償責任保険では補償が受けられないため、事業主自身が保険に加入する必要があります。

例えば、従業員が
 
・銀行、郵便局等に私有自転車を利用していくことがある
・近隣の顧客への訪問に私有自転車を利用することがある
・持ち運べる荷物であれば私有自転車を利用して他の事務所に届けることがある


といった場合に発生した事故は、企業側に「使用者責任」(民法715条)を問われる可能性がありますので、企業としても「施設賠償責任保険」に加入をしておき、賠償に備える必要があります。
 (出典:国土交通省HP)
 https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/promotion/pdf/commentary.pdf
また、従業員自身がケガを負った場合や、事故で亡くなった場合、労災での補償が十分受けられないことや、遺族から安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求を受けることがあります。
それらのリスクに備えるためには、労災上乗せ保険の検討も必要となるでしょう。



【企業としての自転車事故対策】
 
このように、企業が従業員に対して、自転車通勤や業務における自転車使用を認める場合には、使用者としての責任を負う可能性があることを十分考慮しなければなりません。
自転車通勤や業務での自転車使用を認める際には、あらかじめ「自転車通勤管理規程」を整備し、道路交通法等の遵守や事故時の対応等を定めておくとともに、従業員自身による自転車保険の加入を許可の条件としたうえで、交通法規を遵守する旨の誓約書を取得する必要もあるでしょう。
また、運行時の体調管理や安全管理を徹底するとともに、道路交通法に基づく安全教育等の実施も重要となります。
自転車通勤の導入を検討する際には、自転車活用推進官民連携協議会が公表している「自転車通勤導入に関する手引き」を参考にされることをおすすめいたします。
(「自転車通勤導入に関する手引き」https://www.mlit.go.jp/common/001292044.pdf




自転車事故が増加するなかで、企業が自転車通勤や自転車の業務使用を認める場合、事故発生時には使用者としての責任を負うリスクがあり、さまざまな対策が必要です。
大和ライフネクスト インシュアランスエスコート部では、経営上の各種リスクへの対応策に関するご相談に応じております。企業向け「自転車通勤管理規程」のひな型もご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問合せフォームよりお申し込みください。



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