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2024.02.16

建設業の2024年問題とは



皆さんは、「2024年問題」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

2024年問題とは、「働き方改革」の一環として労働基準法や労働安全衛生法、労働者派遣法等が改正されたことで、2024年4月以降に発生するさまざまな問題の総称を指します。
具体的には、2019年4月(中小企業は2020年4月)から、時間外労働の上限が法律で制定されましたが、建設業や物流業といった一部の業務・事業については、長時間労働の背景に業務の特性や取引慣行の課題があることから、上限の適用が5年間(2024年3月末まで)猶予されていました。
この猶予期間が終了したとき(2024年4月)にさまざまな問題が発生することが懸念されています。本コラムでは、建設業と物流業をとりまく問題について2回に分けてご紹介をいたします。(物流業については3月に掲載予定です)


建設業をとりまく現状と課題

国土交通省は2021年に「建設業の働き方改革の現状と課題」を発表しました。この中で課題として少子高齢化と長時間労働が指摘されています。

発表によりますと、建設業就業者は2020年時点で55歳以上が36.0%、29歳以下は11.8%と高齢化の進行が深刻であることがわかります。(全業種では55歳以上31.1%、29歳以下16.6%)
また、年間労働時間が製造業と比べて147時間、全産業と比べて364時間長く、年間出勤日数は製造業に対して20日、全産業と比較する32日多いことがわかります。



(出典:国土交通省 「建設業の働き方改革の現状と課題」

また、建設業における休日の状況を示す調査結果によると、建設工事全体では約64%が4週4休以下であることがわかります。これらの調査結果から、建設業では長時間労働が常態化していると考えられます。
このような状況をふまえ政府は、労働環境の改善や人手不足の解消、若い世代の就業数増加につなげるためにも、建設業に与えていた猶予期間を終了し、働き方改革を推進することになりました。



建設業における2024年問題のポイント

建設業における2024年問題のポイントとして「時間外労働に罰則付きで上限規制が設けられる」ことが挙げられます。
働き方改革関連法の施行後も、時間外労働の上限の適用が猶予されていた建設業では、36協定を締結し届出をすれば、法定労働時間を超過しても罰則はありませんでした。
今回の時間外労働の上限規制の適用は、この猶予期間の終了に伴うものです。
そもそも労働基準法では「法定労働時間」が定められており、1日8時間・週40時間以内が原則とされ、超過する場合は時間外労働に該当します。
また、事業所が従業員に残業を要請する際は以下の2点を完了させる必要があります。

1 労働基準法第36条に基づく労使協定「36協定」の締結
2 所轄労働基準監督署長への届出

猶予期間が終わる2024年4月からは、建設業も時間外労働規制の対象となります。
違反した場合、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられるため、事前の対策が必要です。
詳しくは以下のイメージ図をご覧ください。



(出典:時間外労働の上限規制わかりやすい解説 厚生労働省


※建設業においては、特例として災害からの復旧・復興のための業務に限り「複数月の平均が80時間以内」「月100時間未満」は適用されません。
 
時間外労働の上限規制に違反した場合に刑事罰があることはご案内したとおりですが、それ以外にも企業にとってはいくつかのリスクが想定されます。

➀労働基準監督署による是正勧告    
 36協定・時間外労働の上限に違反した場合、労働基準監督署による是正勧告という行政指導が行われるリスクがあります。

②刑事事件としての「送検」
 悪質なケースや労働者から刑事告訴がなされた場合、時間外上限規制違反の刑事事件として「送検」されるリスクがあります。

③ブラック企業としてのイメージ定着 
 送検の時点で記者クラブに情報公開されるため、ブラック企業としてのイメージが定着するリスクがあります。

④指名停止処分    
 国土交通省の地方整備局や地方自治体から指名停止措置がなされるリスクがあります。




建設業の働き方改革を実現するための具体的な施策

建設業は、長時間勤務をはじめとした労働環境問題の解決のためにどのようなことに取り組んでいくべきなのでしょうか。
国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しており、建設業に向けて働き方改革を実現するための具体的な指針を提案しています。
出典:国土交通省「「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定~官民一体となって建設業の働き方改革を加速」

同プログラムでは
➀週休2日制の導入の後押し     
 公共工事における週休2日の大幅拡大

②各発注者の特性をふまえた適正な工期設定 
 各発注工事の実情をふまえた「適切な工期設定のためのガイドライン」の改定
 出典:国土交通省「適正な工期設定等のためのガイドラインについて」

③技能や経験にふさわしい処遇の実現         
 建設キャリアアップシステムの稼働と加入の推進

④社会保険への加入の推進              
 社会保険未加入の企業に対し建設業の許可・更新を認めない仕組みの構築

⑤生産性の向上に取り組む企業の後押し        
 IOT、ICT建機の導入により生産性を向上させる

といったことなどが提案されています。
建設業者は、これらのプログラムを活用して労働環境改善に取り組むことが求められています。
 



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