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年末調整で控除できる所得控除のうち、今月は「小規模企業共済等掛金控除」についてご紹介いたします。
年末調整や確定申告では、「所得控除」を受けることで所得税や住民税の負担を軽減することができます。「基礎控除」「配偶者控除」「扶養控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」等15種類の控除制度がありますが、このうち将来に備えて小規模企業共済などに掛金を支払っている中小企業の経営者の方や個人事業主の方、あるいは企業に勤めながら確定拠出年金などの制度に加入している方は、その掛金の全額が事業所得や給与所得などから控除されるので、各種控除と同様に課税所得金額が減り、かかる税額が軽減されます。
最初に、それぞれの制度をご紹介します。
「小規模企業共済制度」とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主等が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる共済制度です。6か月以上積み立てると、廃業した場合に共済金を受け取って退職金代わりにすることができるなどのメリットがあります。ただし、納付年月が短い場合、例えば20年未満で解約すると元本割れのリスクがあったり、12か月未満の場合は掛け捨てとなってしまうなどのデメリットも考慮する必要があります。
「確定拠出年金」とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定する年金制度です。
掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。
確定拠出年金には、事業主が掛金を拠出する企業型年金(企業型DC)と、個人で加入し掛金を拠出する個人型年金(iDeCo)があります。
これらは運用益が非課税で、受取時に税控除が受けられるメリットがある一方、運用によっては元本割れのリスクがあることや、原則として途中解約ができないこと、60歳を迎えるまで資金を引き出すことができないことなどをふまえて利用する必要があります。
「心身障害者扶養共済制度」とは、地方公共団体が条例で定めて実施している共済制度で、障害のある方の扶養者が、自らの生存中に毎月一定の掛け金を納めることにより、扶養者の死亡や重度障害等の万一の際に、障害のある被扶養者に終身一定額の年金が支給される制度です。被扶養者の方が亡くなるまで終身支給されることや、被扶養者の方が生活保護を受けていても、生活保護の収入認定からは除外されるなどのメリットがあります。一方で、こちらも加入時期や死亡時期によって掛金が年金総額を上回ることがあります。
これらの制度の利用者に対し所得控除される掛金は、次の3つです。
1 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ 「小規模企業共済」の掛金
2 確定拠出年金法に規定する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の掛金
3 各都道府県と指定都市で実施している「障害者扶養共済制度(しょうがい共済)」の掛金
小規模企業共済等掛金控除では、これらに支払った掛金のすべてが所得控除の対象となります。申告の方法は次のとおりです。
個人事業主の場合は、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に金額などの情報を記載するとともに支払った掛金の証明書を添付して提出することで、控除を受けることが可能です。なお小規模企業共済等掛金控除の証明書は電子データでも可能です。
会社員の場合は、企業型確定拠出年金(企業型DC)については、従業員が控除を受ける手続きをしなくても勤務先が手続きを行います。その場合、控除額は源泉徴収票で確認することとなります。iDeCoについては、年末調整で勤務先の所定の書式で申告し、支払った掛金の証明書を添えて提出すれば、小規模企業共済等掛金控除を受けることができます。
今回は、所得控除のうち「小規模企業共済等掛金控除」についてご紹介いたしました。所得控除の対象を見落とさずに申告することが大切です。各制度の利用については、それぞれの特徴や注意点などをよく理解して活用することをお勧めいたします。
出典元
【独立行政法人 中小企業基盤整備機構】
https://www.smrj.go.jp/index.html
【企業年金連合会】
https://www.pfa.or.jp/qa/kyoshutsu/kyoshutsu01.html
【国税庁HP】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
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2024.07.29