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2025.10.28

マンション水ぬれ原因調査費用特約は必要なのか?(共用部火災保険の水ぬれ原因調査費用特約) ☆★NEW



1. はじめに 共用部火災保険の水ぬれ原因調査費用とは?
 
近年、マンション管理組合向けの火災保険では、高経年マンションの水ぬれ事故での保険金支払いが増加しています。給水配管の材質によっては、他の建物設備より劣化が早く進行することが原因の一つと考えられています。
国土交通省によると、築40年を超えたマンションのストック数は、2024年時点では148万戸。2034年には293.2万戸、2044年には482.9万戸にも及ぶと推測されており、今後も水ぬれ事故の増加が予測されています。


(出典:国土交通省HPマンションに関する基礎データ資料「築40年以上のマンションストック数の推移」)


「水ぬれ原因調査費用」とは、マンション建物内(共用部・専有部問わず)において水ぬれ事故が発生した際に、原因を特定するために実施する調査にかかる費用です。具体的には、床下に埋設された給排水管の調査のために床を剥がす作業や、点検口の開放、漏水試験、配水管内の確認などが含まれます。
 
【ポイント】
  ① 原因箇所の修理費用は調査費用には含まれません。
  ② 調査内容が「必要かつ有益な費用」であるかどうかで認定されます。  

「水ぬれ原因調査費用」は、管理組合が加入する共用部火災保険の特約として付帯されていることが多く、各保険会社での支払限度額は一般的に1事故につき100万円とされています。また、一部の保険会社では年間の保険金限度額が100万円と設定されている場合もあるため、確認が必要です。
 

2.水ぬれ事故発生件数と保険金支払い状況

弊社が管理するマンションにおいて、2024年の1年間で約1,200件の水ぬれ事故が発生し、認定された水ぬれ原因調査費用特約の保険金総額は約3億円となっています。

〇2024年1月~12月事故件数※     1,180件
〇水ぬれ原因調査費用 保険金認定額※    約2 億9,700 万円
〇1件あたり平均認定額          約25 万円
 
※大和ライフネクスト株式会社インシュアランスエスコート部調べ(2025年9月)
※大和ライフネクスト株式会社が管理するマンションにおいて、水ぬれ事故の報告により保険金請求を行った件数・認定金額。報告日をベースにしているため、実際の事故日とは異なる場合があります。


また、支払保険金の最高認定額は約100万円となっています。これは「天井からの漏水」に対する調査において、開口作業や注水試験などを複数の工程を組み合わせて行った結果、高額となったケースです。
 
漏水調査としてはCCDカメラ調査、散水テスト、配管制圧テスト、開口部調査などがあります。建物の形状によって散水テストを実施するためにクレーン車等を利用する場合には、費用が高額になる懸念があります。 


3.水ぬれ原因調査費用の認定判断における「必要かつ有益な調査費用」とは?
 
主な水ぬれ原因調査には下記のような方法があります。
・床下配管の確認(給排水管の劣化や破損が原因の場合には早期発見が可能)
・散水・加圧試験での確認(外壁からの漏水に対し雨漏りを再現したり、給水配管に圧力を加えたりして原因を特定する)
・赤外線カメラ調査での確認(目視できない水の流れや湿気を可視化できる)
・蛍光塗料・トレーサーでの調査(水の流れを追跡し漏水ルートを明確に特定できる)
 
水ぬれ原因調査を行うことの主な利点は以下のとおりです。
・保険金支払の根拠になる:原因が不明な場合、保険会社は保険金を支払えない
・責任の所在を明確にできる:専有部分か共用部分かで費用負担者が変わる
・居住者間のトラブル防止:原因が曖昧だと感情的な対立に発展しやすい
・再発防止策の立案に役立つ:構造的な問題があれば、長期修繕計画にも反映できる
 

4.水ぬれ原因調査費用の保険金ご申請フロー
 
事故発生から保険金支払いまでの流れは下記のとおりです。
事故発生初動:被害箇所の写真撮影、緊急対応の応急措置、原因の特定

《初動で水ぬれ原因が特定できない場合》
    ①  管理組合が調査業者へ調査を依頼
    ②  調査業者が調査報告書、写真、開口復旧見積書を提出
    ③  管理組合が保険金請求の可否を確認
    ④  保険会社への事故報告と必要書類(調査報告書、写真、開口復旧見積書)を提出
    ⑤  保険会社が支払い可否を判断し、認定額を通知
    ⑥  支払い可能と判断された場合、保険金請求書を提出
    ⑦  保険金が保険金が支払われる  

5.まとめ
マンションで水ぬれ事故が発生した際、原因が特定されないと、責任の所在や下の階への損害賠償金を負担すべきかが決まらないため、漏水調査が必要となります。この調査にかかる「水ぬれ原因調査費用」は、マンション共用部火災保険の特約でしか対応できません。今後、高経年マンションが増加していく中で水ぬれ事故も増えることが想定されることから、水ぬれ原因調査費用特約のニーズはさらに高まっていくと考えられます。
 
みなさまがお住まいのマンション管理組合向けの火災保険には、「水ぬれ原因調査費用特約」は付帯されていますか?ぜひご確認ください。
 

※このご案内は、概要を説明したものです。ご契約にあたっては必ず各引受保険会社のパンフレットおよび「重要事項のご説明」をあわせてご覧ください。また、詳しくは「ご契約のしおり(普通保険約款・特約)」をご用意しています。ご不明な点につきましては、取扱代理店までお問い合わせください。
 

【取扱代理店】
大和ライフネクスト株式会社
インシュアランスエスコート部
〒107-0052 東京都港区赤坂5-1-33
TEL:0120-75-0032
<受付時間>
平日:午前10時から午後5時まで

2025年10承認 B25-201201

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