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2023.08.25

100年目の9月1日がやってくる  関東大震災の教訓を活かした地震対策を



今年は1923年に発生した関東大震災から100年の節目に当たります。相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の大地震は、南関東および隣接地で大きな被害をもたらしました。のちに、その発生日である9月1日は「防災の日」と制定され、地震のみならず台風、水害など、さまざまな災害への備えや心構えを改めて考える日となっています。そこで今回は、来る9月1日に向けて、関東大震災とはどんな地震だったのかを振り返り、その発生以降に変わった防災や保険に関する情報をご紹介します。
 


約10万5,000人の死者・行方不明者を出した大地震
関東大震災は、1923年(大正12年)9月1日11時58分に発生した大地震です。震源地は相模湾北西部、地震の規模はマグニチュード7.9と推定されています。
 
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県で震度6を観測したほか、10万棟を超える家屋を倒壊させました。さらに発生が昼食の時間と重なったことから、多くの火災が発生。亡くなった方の9割の死因が焼死であることからも、首都を焼き尽くすような大規模な延焼火災が起こったことがわかります。
 
この地震によって全半壊・消失・流出・埋没の被害を受けた住家は総計37万棟。死者・行方不明者は約10万5,000人に及ぶなど、甚大な被害をもたらしました。
 
近年日本国内で発生した大震災と比較しても、いかに関東大震災が大きな災害であったか、想像できると思います。
 

  関東大震災 阪神・淡路大震災 東日本大震災
発生年月日 1923年9月1日(土)
11:58
1995年1月17日(火)
5:46
2011年3月11日(金)
14:46
地震規模 マグニチュードM7.9 マグニチュードM7.3 モーメントマグニチュード
Mw9.0
直接死・行方不明 約10万5,000人
(うち焼死 約9割)
約5,500人
(うち窒息/圧死 約7割)
約1万8,000人
(うち溺死 約9割)
全壊・全焼住家 約29万棟 約11万棟 約12万棟
経済被害 約55億円
(GDP比 約37%)
約9兆6,000億円
(GDP比 約2%)
約16兆9,000億円
(GDP比 約3%)
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(出典:令和5年版 防災白書)



関東大震災を契機に見直された社会制度
それまでの平穏な生活と、人々の安全に対する意識をすべて変えてしまうほどのインパクトを、当時の日本社会に与えた関東大震災。この大災害を機に、地震による被害を防ぐための対策が強化されました。
 
その一つが建物の耐震規定の制定です。関東大震災では、約10万棟の住家が倒壊したとされています。これを教訓として、大震災の翌年の1924年には「市街地建築物法施行規則」(大正9年内務省令第37号)の構造強度規定が改正。法令による地震力の規定が世界で初めて制定されました。
 
戦後、全国を対象とした「建築基準法」(昭和25年法律第201号)に置き換わりましたが、当時制定された耐震規定は、変遷しながらも現在の耐震基準の基礎となりました。
 
また関東大震災は、地震防災に関わる研究を進めることの重要性を認識させました。発生から2年後の1925年には、東京大学(当時は東京帝国大学)に地震研究所が設立。それまでの統計的研究や観測に重点を置いた地震研究ではなく、振動工学や物理学、地球物理学等の立場から地震現象を科学的に理解しようとする研究が進められました。
 
その後、地震学は大きく発展し、発生メカニズムの解明や地震観測網の整備、さらには巨大地震の発生予測、地震発生時の情報発信など、今日の地震防災対策につながる知見が深まっていきました。
 

 
地震保険制度創設の契機は新潟地震
大震災により大きな被害を受けた際に拠り所となるのが地震保険です。しかし、関東大震災発生当時には火災保険の約款で地震が免責条項となっており、家屋の被害に保険金が支払われないことが社会問題化しました。
 
1926年には当時の商工大臣を会長とする「損害保険制度調査委員会」が設置。1934年には火災保険に強制付帯する形で「地震保険制度要綱案」がまとめられましたが、成立には至りませんでした。
 
現在の地震保険創設のきっかけとなったのは、新潟県を中心に山形県、秋田県など9県に大きな被害をもたらした1964年の新潟地震でした。
地震発生後の国会で「速やかな地震保険等の制度の確立を根本的に検討」する旨が付帯決議され、その後さまざまな検討や審議を経て1966年5月18日に「地震保険に関する法律」が公布・施行。この法律の制定を受け、実際の地震保険が認可・発売開始したのは同年6月1日のことでした。





まとめ
ちょうど100年前の首都圏に壊滅的な被害をもたらした関東大震災。地震大国と呼ばれる日本では、今後も南海トラフ地震、首都直下地震といった大きな地震の発生が予想されています。
 
大震災の発生自体を食い止めることはできませんが、これまで発生した震災の経験や、その教訓を活かした防災対策により、少しでも安全に暮らしていけるように準備することはできます。
 
日頃からの防災対策、さらには震災後の復興に役立つ地震保険への加入など、100年目の9月1日を機に、今からできることを進めてみてはいかがでしょう。
 


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