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2024.03.12

物流業界の2024年問題



  【目次】

  • 物流業界の2024年問題
  • トラックドライバーの現状と課題
  • 長時間労働の上限規制の内容
  • 2024年問題の影響
  • 2024年問題への対応策


物流業界の2024年問題

今月は「物流業界の2024年問題」というテーマを取り上げたいと思います。
※建設業における2024年問題については2月のコラムに掲載しています。ご関心のある方はご一読ください。(関連リンクはこちら https://www.daiwalifenext.co.jp/hoken/news/134.html

物流業界の2024年問題とは、2024年の4月以降に、自動車運転業務などの時間外労働の上限が規制されることに伴って生じるさまざまな問題の総称です。
物流業界では、若手不足と高齢化による労働力不足が叫ばれる中、EC(Electronic Commerce)市場の急成長により宅配便の取扱個数が急増したことで、トラックドライバーの長時間労働が常態化していましたが、2024年4月からドライバーの時間外労働は「年960時間の上限規制」が適用されます。
何も対策を講じなければ、2024年度には約14%(4億トン相当)、2030年度には約34%(9億トン相当)の輸送力が不足するとの見方もあり、大規模な物流の停滞につながる恐れがあります。
出典:国土交通省「物流の2024年問題について*」
 

トラックドライバーの現状と課題
 
厚生労働省の調査データをもとに国土交通省自動車局が作成した資料によると、トラックドライバーの年間労働時間は全産業と比較して約2割長く、一方で年間所得額は全産業と比較して約1割低いというデータが示されています。
このデータからは、トラックドライバーは「労働時間が長い」「労働時間に対する所得が低い」といった2つの課題を抱えていることがわかります。
それにより、深刻な担い手不足の状態が生じており、有効求人倍率は5年連続、2倍程度で推移しています。



このような労働環境を改善するために、政府はこれまで物流業に与えていた労働時間の上限規制における猶予期間を終了し、働き方改革を推進することとなりました。
 

長時間労働の上限規制の内容
 
長時間労働の上限規制のポイントとして「時間外労働に罰則付きで上限規制が設けられる」ことが挙げられます。
労働基準法の改正に基づき、自動車の運転業務の時間外労働には年960時間(休日労働を含まない)の上限規制が適用されることとなります。
この上限規制に違反した場合、労働基準法違反として6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられるため、事前の対策が必要です。
これにあわせて厚生労働省は、トラックドライバーの拘束時間(労働時間+休憩時間)等を定めた「改善基準告示」(貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の対象)における拘束時間等に関するルールを見直しています。
また、国土交通省は、過労運転防止の観点から改善基準告示の内容を通達し、行政処分基準として運用しています。
詳しくは以下の表をご覧ください。


出典:国土交通省「物流の2024年問題について」

 
2024年問題の影響
 
2024年問題に対する対策を行わなかった場合、物流業界に発生が予想される影響は次のとおりです。
 
➀トラック運送会社の売上・利益減少の可能性
 時間外労働の上限が規制されるため、ドライバーの労働時間・業務量の減少が予想されます。したがって会社全体の売上・利益の減少も予想されます。

②ドライバーの賃金の減少と離職の可能性
 労働時間が制限されたことによる割増賃金の減少がドライバーの賃金減少につながり、ドライバーの離職が増加する可能性があります。

③荷主の運賃上昇による価格転嫁
 売上減少やドライバーの離職の問題を受けて、荷主側は運賃を値上げする可能性があります。その場合、商品に価格転嫁され消費者にも影響が発生する可能性があります。
 
 
2024年問題への対応策
 
物流業者は、長時間勤務をはじめとした労働環境問題の解決のためにどのようなことに取り組んでいくべきなのでしょうか。
2024年問題への対応策として、経済産業省、農林水産省、国土交通省の連名で「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流業者の取組に関するガイドライン」が策定されています。
発荷主業者・着荷主業者・物流業者が取り組むべき事項がまとめられていますので、ご紹介いたします。
出典:「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン(2023年6月版)*」
 
ガイドラインには
➀荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握
 荷待ちや荷役作業は長時間労働の大きな要因となっています。まずは荷待ちや荷役作業の時間を把握する必要があります。
 
②荷待ち・荷役作業等2時間以内ルール
 長時間のロスを防ぐために荷主事業者に対して「荷待ち・荷役作業の2時間以内ルール」が設けられています。

③物流管理統括者の選定
 物流管理統括者は、物流の適正化・生産性向上に向けて販売部門、調達部門等の他部門との交渉・調整を行います。

④物流の改善提案と協力
 過度な負担が発生している部分がないかを検討して改善する。取引業者から合理化について要請があった場合は真摯に応じる。             
といったことなどが記載されています。物流業務の改善のためには、荷主側の協力も必要であることをおさえておきましょう。
 

若手ドライバーの採用や、現職ドライバーの定着のためには企業の福利厚生を充実させることが有効です。
大和ライフネクストでは、2024年問題の解決をサポートする損害保険会社のサービスをご紹介しています。ご関心のある方は下記フォームよりお問い合せください。







大和ライフネクスト株式会社 
インシュアランスエスコート部 

お問い合わせいただきました内容につきましては、通常3営業日以内にご回答しております。  
 



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