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2026.07.29

施設賠償責任保険 補償内容と加入時の注意点

店舗やオフィス、工場などの施設を所有または管理している企業にとって、施設の欠陥や従業員の業務遂行中の過失によって第三者に損害を与えてしまうリスクは、経営を大きく揺るがす要因となることがあります。このような不測の事態に備えるための損害保険が「施設賠償責任保険」です。
 
本コラムでは、施設賠償責任保険の基本的な補償内容と、加入時に注意しておきたいポイントおよび知っておきたい特約についてご案内いたします。

 

1. 施設賠償責任保険とは

 
施設賠償責任保険は、企業が所有、使用または管理する施設に起因する偶然な事故または施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する偶然な事故によって、第三者の身体に障害を与えたり、他人の財物を壊したりした場合に生じる法律上の損害賠償責任をカバーする保険です。
万が一の事故が発生した場合、被害者への賠償金だけではなく、訴訟に発展した際の弁護士費用や、事故原因の調査にかかる費用など、多額の支出が発生する可能性があります。
施設賠償責任保険に適切に加入しておくことで、これらの費用についても保険金として支払われる場合があり、企業のリスク軽減に寄与します。施設賠償責任保険に加入する際は、基本的な補償内容を把握したうえで、注意しておきたいポイントや特約について理解しておくことが大切です。
 

2. 施設賠償責任保険が補償する二つのリスク

 
施設賠償責任保険において補償の対象となるリスクは、大きく分けて施設危険と業務遂行危険の二つに分類されます。
 
施設危険とは、被保険者が所有、使用または管理する施設に起因する偶然な事故のリスクを指します。具体的には、店舗の床が水濡れで滑りやすくなっていたとで、来店されたお客様が転倒して骨折したケースや、建物の外壁タイルが剥がれ落ちて通行人に直撃しケガをしたケースなどが該当します。
これらのケースでは、民法上の土地工作物責任が問題となる場合もあるため、占有者または所有者は、一般的に重い賠償責任を負う可能性があります。
施設賠償責任保険の基本契約では、このような事故が原因で 損害賠償金を請求された場合に、保険金をお支払いできる場合があります。
 
業務遂行危険とは、被保険者が施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する偶然な事故のリスクを指します。例えば、飲食店において従業員が熱いスープを運んでいる際に誤って顧客にこぼしてしまい火傷を負わせた場合や、デパートのバーゲンセールで来訪者の整理に不手際があり、お客様がケガをしてしまった場合などがこれにあたります。これらの事故において、企業は従業員の使用者として、民法上の使用者責任を問われる可能性があります。
このような業務の遂行により発生した事故も、施設賠償責任保険基本契約にて補償される場合があります。
 

3.加入時に注意しておきたいポイントと知っておきたい特約

 
施設賠償責任保険に加入するメリットは、施設の管理不備や設備の欠陥などに起因して、予期せぬ重大事故が発生した場合でも、高額な損害賠償責任に備えられる点にあります。これにより、企業は事故発生時の経済的負担を軽減し、事業の継続性を確保しやすくなります。
一方で、加入の検討にあたっては注意しておきたいポイントもありますので、以下にご紹介します。
 
◆注意しておきたいポイント
 

【基本契約では水漏れ事故は補償されない場合がある】

施設賠償責任保険の基本契約では、給排水管、冷暖房装置、スプリンクラー等からの漏水は補償対象外とされる場合があります。テナントビルの上層階に入居している企業が、テナント側の過失により水漏れを発生させ、下層階のテナントのパソコンやサーバー、重要書類などを水損させてしまった場合には、財物の損害に加え、営業停止などに伴う休業損害についても賠償を求められることがあります。
 
このような事故をカバーするには「漏水補償特約」の付帯を検討することが重要です。自社の状況に応じて必要性を確認しましょう。
 
 

【基本契約ではエレベーター・エスカレーターの事故は補償されない場合がある】

施設賠償責任保険の基本契約では、エレベーター・エスカレーターで発生した事故も補償対象外とされる場合があります。エレベーターの扉にはさまれる事故や、かごが無い状態で扉が開いてしまい転落する事故、エスカレーターでの転倒事故なども、基本契約ではお支払いの対象外となることがあります。
 
このような事故を補償するには「昇降機危険補償特約」の付帯を検討することが重要です。自社ビル等でエレベーター設備がある企業は、確認しておきましょう。
 

【基本契約では預かり物に対する損壊は補償されない場合がある】

 
施設賠償責任保険の基本契約では、第三者の財物に与えた損害は補償の対象となる一方で、顧客からの預かり品に対する損害は補償対象外とされる場合があります。
 
顧客から預かった財物を保管中に、火災や盗難、破損などの事故が発生した場合の損害賠償責任を補償するには「受託物賠償責任補償特約の付帯を検討する必要があります。ホテルやレストラン、美容院、修理業者など、顧客の所有物を管理下に置く必要がある企業にとっては、自社のリスク状況に応じて検討が重要な特約と言えます。顧客との信頼関係を維持し、誠実な対応を迅速に行うための備えとして、加入の検討が望まれます。
 
 

【相手方の治療費等をお見舞いとして支払える特約】

 
企業側に法的な損害賠償責任がない場合でも、道義的な観点から被害者に対して治療費や見舞金を支払いたいと考えるケースは一定程度見られます。このようなニーズに応えるのが「被害者治療費用等補償特約」です。例えば、店舗の床や設備に一切の不具合がなく、完全に顧客自身の不注意によって転倒し怪我をしてしまった場合、企業は民法上の賠償責任を負わない場合があります。しかし、今後の関係性を考慮して企業側がお見舞金を支払うことは、日本の商慣習において珍しくありません。この特約を付帯していれば、一定の条件および限度額の範囲内で、治療費や見舞金の実費が保険で補償されることがあります。
 
企業の対応を円滑に進めるための備えとして、加入を検討しておきたい特約の一つです。
 

【事故対応の初動をスムーズにする特約】

事故が発生した直後は、被害者への謝罪や見舞いの手配、現場の保存や事故原因の調査など、賠償金以外のさまざまな初期対応費用が発生します。
 
これらの費用をカバーするのが「初期対応費用補償特約」です。事故直後の企業の対応姿勢は、その後の賠償交渉の円滑さや、企業の社会的評価に大きな影響を与えることがあります。誠意ある迅速な対応を行うためには、現場の担当者が費用を過度に気にすることなく動ける体制を整えておくことが重要です。例えば、店舗内で顧客が転倒して救急車で搬送された場合、店長が病院に駆けつけてタクシー代を支払い、お見舞いの品を持参するなどの対応が考えられます。個々の支出額の多寡にとらわれるのではなく、このような対応を迅速に行える体制を整えておくことが、トラブルの深刻化を防ぐことにつながります。円満な解決に導くための備えとして、加入を検討しておきたい特約です。
 
※保険会社により名称が異なります
 
 

4.まとめ

 
施設賠償責任保険は、貴社が所有、使用または管理する施設に起因する偶然な事故、または施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する偶然な事故による第三者への損害賠償責任に備える保険です。企業活動を行う上で欠かせない保険の一つですが、基本契約だけではカバーできないリスクも存在します。そこで、加入時にご検討いただきたい主な特約についてご紹介しました。
 
大和ライフネクスト株式会社では、建物管理のプロとして、年間4,000件(当社の管理建物における保険事故の受付件数。賠償事故以外も含む)に対応してきた豊富な経験があります。
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