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2019.2.18

マンション寿命、いつまでか!?

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「うちのマンション、あと何年ぐらい住めるだろう」。ふと、そんなことを思った方は少なくないだろう。不安にも似た疑問である。
建物も古くなってきた。これからの計画修繕や積立金は大丈夫だろうかなど、そんなことを思い始めるのが築30年・40年目のマンションだ。そこで今回は、マンションの寿命について考えてみたい。

「100年以上」は、物理的にはもつ!

いつまでも あると思うな なんとやら……。
建物は、ずいぶん昔からそこにあり、この先もずっと在り続けるように思ってしまうもの。現に、自分が子供の頃の建物が存在していたりする。「100年住宅」なんて言葉を巷で聞いたこともあり、「まあ、大丈夫でしょう〜」などとタカを括ってしまう。
税法でいえば、法定耐用年数は47年。また、改修工事に興味があり勉強された方は「コンクリートの中性化の速度で決まる」と理解されているかもしれない。実際はコンクリートが中性化しても鉄筋コンクリートの強度は変わらない上、今は鉄筋の錆びの進行を抑える中性化補修工法もある。
どうも、マンションの寿命を言い当てる考え方は定まっていないようだ。
日本最古といわれる共同住宅は、世界遺産にもなった長崎の軍艦島。大正5年に建てられ、炭鉱の社宅として昭和49年までの約60年間使用された。現在は閉山から40年以上が経過し、一世紀を超える建物である。すでに荒れ果て、住むことはできないが、躯体はしっかりと残っており、仮に計画的に修繕を行っていたとしたら、使用することは可能であっただろう。
つまり建物は、修繕し続ければ物理的には100年以上はもつということだ。

空き家の増加=マンションの寿命が近づいた!?

ここで少し、深掘りしてみたい。
「建物の寿命」というと、建物そのもののハード面の劣化というイメージが強い。しかし、マンションは人が住んで初めて「住宅」としての意味を持つ。それこそが、マンションの存在意義だ。
そのためには、例えば、しっかりとした管理運営がなされ、共用部の掃除も行き届き、ひとつのコミュニティとして成り立っているなど、人が住まうための環境が確保されている必要がある。
しかし、住んでみたいと思う魅力を失い、誰もそこに住まなくなれば、いくらハード面がしっかりしていても、もはやその建物は、存在する意味がなくなる。若い世代が住みたいと思えず、次世代への住みつなぎが出来ずに空き家が増加していくマンションは、寿命が近づいてきたと考えるべきなのだ。
軍艦島の例で、「計画的に修繕を行っていたとしたら、使用は可能であっただろう」といったが、そこにはさらに注釈が付く。「昔の住まい方なら」使用可能だったということ。早い話、現代の生活のニーズに応えられない状態では、誰も住みたいとは思えない。つまりは、住みたいと思える環境というソフト面を外して、物理的な側面だけで「建物は何年もつか」という問答は、実は、あまり意味がないのだ。

「若い世代に住みつなげる価値」が大事

ヨーロッパの古い建物は、鉄筋コンクリートではなく石造りが多いが、200年を超えるアパートメントもたくさんある。何世代もが受け継ぎ、歴史を刻んだ建物の方が価値は高いとさえいわれている。
若い時分に家族と暮らし始め、そのままマンションに住み続け、高齢となり終の棲家と決め込む、そんな人も多い。しかし、次世代に上手くつなぐことができず、人生を全うした後に空き家となりやすいのが、今の日本のマンションの現状だ。これからの日本は、マンションも含め空き家が増加し続けるといわれている。これは実に頭の痛い問題になる。
ニッセイ基礎研究所のデータでは、世田谷区は、東京区部全体の分譲マンションが7.3%であるのに対して、空家率が12.8%と極めて高い。人口の多い都心にありながら、日本全体の空家率である13.5%に迫る勢いなのだ。
世田谷区は住宅地であることから、早くから分譲マンションが供給されてきた。最寄駅からバス便の立地でもたくさん建てられ、旧耐震マンションも多い。また、駅から遠い立地でも近隣の駐車場料金は高止まりの感がある。そんな中古マンションは、若い世代にとっては、決して魅力的な条件とはいえない。中古を購入するなら、第一に地震に堅牢な新耐震マンションで、できれば駅から徒歩圏、そして少しでも安い駐車場が近隣にあるなどの条件から探すだろう。
いずれにしろ、若い世代が住みたいと思えないマンションは、空き家リスクが高いということだ。
ハード面の維持やメンテナンスはとても大切だ。しかし、次世代につなげられるかどうかこそ、高経年マンションにとって重要な問題になってくる。今後の日本のマンションが直面する空き家という「寿命の問題」を解決するヒントは、若い世代に住みつなげる価値を創ることに間違いない。

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